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2005/08/06

脇明子「読む力は生きる力」

 今年読了した本56冊目、脇明子:著「読む力は生きる力」岩波書店:刊。

 どっちかというと仕事系の本。「生きる力」とか言われて久しいけど、「生きる力」ってなんでしょう。「こんな力が生きていく上で必要なんじゃないかな~」とか思うことはいくつかあるけど(そして仕事の上ででっち上げたりもするけど)、「生きる力」全体像についてはさっぱりイメージ湧きません。困ったもんだ(非実力派宣言)。

 まあ、「読解力=文章を読んで中に書いてある内容を的確に理解する能力」は、「生きる力」の中でもそれなりに重要な位置にあると思う訳なんですけどね。それでもなんか、読書と読解の間にはやっぱり溝があるような感じ。活字入門期における読書を推奨することはともかく、例えば高校生になって読解力を伸ばすんだったら、新聞の記事とか、短い論文とかの方が内容が論理構築による分だけ有効だと思われるし(まあ、新聞の記事に関しては「読むに値するのか?」と思うような文も、「右(または左)すぎだろ」という意味で危険なものもありそうですが~…閑話休題)。何でそこで「読書」なんでしょうか。

 自分自身の中での「読書」の位置づけは比較的明確なんですけどね。「面白いから」。これ一点に尽きます。手に取った本自体が「面白く」なくとも、読書という作業自体が割りと面白いというか、他者の思考(または思考の賜物としての物語)に触れて「この作品はスカ」と判定すること自体も知的コミュニケーションの一環と思えます。まあ、私自身が読書を楽しんでいるってのは、このブログを読んでる人には伝わってると勝手に思ってます。

 …あ。宗教関係者の書いた本にスカ判定を下すことが多いのは、読み手の迷いに共感する振りをしつつも「信じないとダメよ」というコミュニケーション拒否的なにおいがあるからか。今気がついた~…閑話休題。

 まあ、「面白いから」読書の習慣は身に着けとけっていう思いは子供たちに対してもあるわけなんだけれども。

 読み聞かせなんかしてやるとたいていの子供は喜んで聞いてくれるんだけど、さて学年が上がってそれ相応の読書をするかっていうとそうじゃない。読書から離れちゃったり、いつまでも簡単なのしか読まなかったり…やっぱそういう現象に対して、忸怩たる思いがあるわけなんですよ。へっぽこ図書館担当でも。

 で、まあ、そんなわけで、この「読む力は生きる力」、読書論でもいっちょ読んで研鑽研鑽(嘘です。単に趣味です)。…えっと、作者自身が大学教授で、「読書が嫌いになっちゃった子供たちの成れの果て」といろいろお付き合いしながらデータ(といっても、数値化されたものじゃないけど)を集めて、読書することの意味とその精神的活動によって促される発達、類似メディアとの違いなどに関してまとめています。

 内容として語られるトピックスとしては、「読む力(読解力)はあるのに読書ができないのはなぜか」とか、「子供を本嫌いにしてしまう要因は」「本(主に物語)を読むことはどんな意味があるのか、またそれによって発達を促されるものは」「アニメや映画、テレビゲームは本の変わりになりうるか」などなど。そして、一般への講演会の口調のような平易な文体で、しかも大事なこと(想像力の育成とか、親の読み聞かせにおけるコミュニケーション的側面とか)には繰り返し触れているので、読みやすいです。読後、頭の中に残ったことが即大事なことって感じだなあ。

 また、赤ちゃんの頃から読み聞かせを推奨する「ブックスタート」の試みについては初耳だけどなかなかいいアイデアだと思った。新潟市もやってるのかなあ。サティさん、乳幼児健診で「ブックスタート・パック」ってのもらったら教えて~(私信かよ!)。

 …というわけで、内容的には8割賛成。「子供に本を読ませたい」と思う大人は読んどけ。

 あと2割は何かって言うと、「何で良書を語る本のラインナップにはSFがいないのよ!」というのが1点。「質問力」の時にも不満に思ったんだけれども、何で大先生はSFを差別なさるのか。ゲームや映像メディアと同等のイメージで扱ってはいないか。…とか感じるのはSFスキーの僻みですか?

 もう1点は、「ゲームやコンピュータ関連のメディアについては、判断にもうちょっと余裕が欲しいなあ」ということ。初版発行が今年1月になっていたけど、ゲーム(とかコンピュータメディアとか)の印象がちょっと古い感じがするんですよ。メールとかネトゲに関して触れられていないし。確かに小さい子供たちに限定して考えるなら、家庭用ゲーム機のイメージが先行するのは仕方ないにしても、ゲームってもっとずっとインタラクティブで自由度の高いものだと思うし、今後もっとそれは加速すると思うので。うまい場所を選んでやることができるなら、という但し書きはつくけど、本とは別の意味で想像力を刺激するし、コミュニケーションを実体験/仮想体験できるツールなのに~(でもそれは読書論から外れるか)。

 さて、へっぽこ図書館担当、この本から得たエッセンスが今後に生かせますかどうか。(無理っぽいかも…orz)

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コメント

>乳幼児健診で「ブックスタート・パック」ってのもらったら教えて~

‥突然ご指名を受けてしまいました(汗)。絵本は私も興味がありますが、うちのこはまだ早いですよ。ようやく絵を認識し始めたばかりで。うちの子よりも、にんにんさんちの方が今は適任ではないかと(と、無責任にバトンパス:笑)。

投稿: サティ | 2005/08/07 14:58

サティさん、レスどうもです。

 いや、「ブックスタート」ってのは、赤ちゃんが本の内容を理解できる段階になる前に自治体の方で絵本と一緒に趣旨の説明をする、という活動なんですよ。

 絵本も、乳幼児期のものすご~く初期のものって殆ど絵しかないですが、繰り返し読んでやることによって、絵(たとえばスイカの絵)が「実在のもの(例えば食べたことのあるスイカ)」を表したものだということに気が付く瞬間があるんだって。

 一緒に本を読む楽しさをわかちあう時間がある事、または我が子の脳内で認知がつながる瞬間をみることができること(ヘレンケラーの「ウォーター」にも通じるかな)って、とても素敵なことだと思うんですよ。本を読むとか好きになることよりも、そういう親子のコミュニケーションのとても素敵な形を実現するための活動がブックスタートなのかな…とこの本を読んだ限りではそう思えるのですが、新潟市ははたしてやってるのかなって思いまして。

 …確かに、にんにんさんでもよかったんだけどね。1ヶ月検診が終わって、次は3ヶ月検診だってブログに書いてたから、今ご指名すれば検診の後に教えてもらえるだろうと思ってw

投稿: NOIRA | 2005/08/07 15:56

なるほろろ~。

そういう「ブックスタート」なら、市主催ではなく、個人の育児サークルや中規模団体でやっていると聞いたような気が‥。乳幼児向けの読み聞かせ系とかですよね?うちの地元の保健センターの育児サークルは結構いろいろやっているみたいですよ。いずれ行ってみたいと思っていたので、今度ご報告いたしますね。

投稿: サティ | 2005/08/07 16:42

そんなに詳細なレポートとかが必要な訳じゃないんで、「ブックスタートパックもらったよ~。」くらいの内容でもいいですよん。上のコメントを読んだ限りでは、新潟は民間任せなのかなあ、と思えますけども。

投稿: NOIRA | 2005/08/07 18:44

第48回久留島武彦文化賞
受賞おめでとうございます。

投稿: 馬耳東風 | 2008/07/01 15:39

馬耳東風さん、コメントありがとうございます。
そしてコメント返しが遅れてごめんなさい。

なんかすごい賞取ったんですね~。
でも「読書」ってつないでいかなきゃいけない文化だと思います。

投稿: NOIRA | 2008/07/28 01:13

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